11月1日より公演中の雪組公演の内容を予習してみましょう。
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『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』のあらすじ
ミュージカル・ロマン
『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』
「……いいぜ、やってみせようじゃないか。お前の成し得なかったことを!」
未だ生まれついた身分によって隔てられた階級社会の続く18世紀末イギリス……それは海を隔てたフランスで、まもなく革命が起きようという時代……平民でありながら、一代で財を築きあげた父親の意向で、ジョージ・ブランメルは本来であれば入学することなど叶わない名門校に入学する。
「息子の代で、なんとしてもブランメル家を上流階級に……」
幸運な偶然によって固く閉ざされた扉の向こう側を見た父親の、過剰なまでの階級への執着と野心は、やがて息子ジョージを蝕み、歪めていく。
大学へと進学したジョージは、上流階級ゆえにのうのうと生きる級友たちとは馴染めず、下町で知り合った恋人の女優ハリエットらと、“お高くとまった奴ら”が眉を顰めるような盛場に入り浸りながら野心を燻らせていた。その美貌を妬む級友たちから密かにボー・ブランメル(美しきブランメル)と渾名されていたジョージは、彼を縛りつけてきた父の死を機に受け継いだ財産と、その美貌を武器に“ボー・ブランメル”として生き、人生を切り拓くことを決意する。そして、それは“下町生まれのジョージ”を捨てること、ハリエットをも含めた過去との訣別を意味していた……
“ボー・ブランメル”は洗練された身嗜みやファッション・センス、ウィットに富んだ言動で人々を魅了していく。ほどなく彼の噂を聞きつけたプリンス・オブ・ウェールズ(後のジョージ4世)と知己を得、その魅力でプリンスの心をも捉え、上流階級への仲間入りを果たす。シンプルながら清潔感と品格が滲み出るファッションと共に、まるで“王”のように社交界に君臨し、栄光を手にしたボー・ブランメルだったが、プリンスの新たな愛人となったハリエットとの予期せぬ再会をきっかけに、人生の歯車が狂い始め……
“ダンディズムの祖”と云われるボー・ブランメル。美貌とファッション・センスでイギリス階級社会を駆け上がった男の、栄光と挫折を描くミュージカル・ロマン。
宝塚歌劇団HPより
本作品は全楽曲を「ジキル&ハイド」や「THE SCARLET PIMPERNEL」などの人気作品を手掛ける作曲家、フランク・ワイルドホーン氏が提供することでも話題になっている作品です。
演出家は生田大和先生で、雪組では過去に「ひかりふる路」を手掛けておられます。(ちなみにその時も作曲はフランク・ワイルドホーン氏です。)
ボー・ブランメルとは?
ところでボー・ブランメルとは誰でしょうか?
- 実在の歴史上の人物?
- 何をした人?
- どんな生涯を送ったのか?
公演を観劇する前にボー・ブランメルについての基本情報を簡単に押さえておきましょう。
- 18世紀にイギリスにおいてファッションで活躍した人物
- 紳士服の基準を作った
- ナルシストでウィットに富んだ性格
18世紀にイギリスにおいてファッションで活躍した人物
「ボー・ブランメル」とは実はあだなで、本名はジョージ・ブライアン・ブランメルです。
「ボー」というのはフランス語のBeau「洒落者」を意味する言葉で、摂政時代のイギリスファッション業界を牛耳り、イギリス上流社交界の頂点に君臨した人物です。
紳士服の基準を作った
ボー・ブランメルの最大の功績は現代紳士服の典型的様式である「三つ揃えスーツ」を完成させたことです。
ブランメル以前の18世紀の男性服は鮮やかな色彩、華やかな刺繍、高価なレースを特徴とした華美な装いが一般的でした。
ところが、ブランメルは「黒」と「白」を基調とし体にフィットさせたシンプルかつエレガントなスタイルを確立しました。
そのスタイルは現代の紳士服にほぼ近い形であり、長きにわたり受け継がれているスタイルです。
ナルシストでウィットに富んだ性格
ボー・ブランメルは身だしなみ以外にも、ナルシスト的な自惚れ、冷ややかで物憂げな立ち居振る舞いでも注目を集めていました。
服装を整えるのに毎朝2時間もかけていたというため、近代ヨーロッパが誇る随一の洒落者と言われるのも頷けるでしょう。
たとえ相手が大貴族でも、ナルシストを貫きときに相手を見下す毒舌を吐くことで社交界でむしろ人々の畏敬を集めていたという伝説もあるほどです。
『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』の配役
| ハリエット・ロビンソン | 夢白 あや | ボー・ブランメルのかつての恋人。ドリュアリー・レーン劇場の女優 |
|---|---|---|
| プリンス・オブ・ウェールズ | 瀬央 ゆりあ | 皇太子。後のジョージ4世。 |
| ウィリアム・ブランメル | 諏訪 さき | ボー・ブランメルの父。 |
| ヘンリー・ピアポント | 縣 千 | ボー・ブランメルの賭博仲間。旧知の友人だが… |
詳しい人物相関図はこちらを御覧ください。
キャストの中に「ロココの夢」という象徴としての配役があります。象徴としての配役については事前に意味をチェックしておくと物語の理解の助けになります。
ロココの夢:色彩をなくした世界のコロス(コロスとは集団や群衆を表す演劇用語)。ボー・ブランメルにつきまとう父親の執心の象徴。
宝塚歌劇団 雪組について
宝塚歌劇団雪組は 朝美 絢さん、夢白 あやさんがトップスターの組です。
夢白さんは本作品が退団公演となります。(参考:夢白さん退団記者会見)
次期娘役トップスターは音彩唯さんとなり、お披露目公演は2026年4月13日(月)に初日を迎える梅田芸術劇場メインホール公演『波うららかに、めおと日和』となります。
雪組は特に日本舞踊や殺陣など日本物の作品を得意としており、着物の着こなしや繊細な演技に定評があります。
今回は洋物のお芝居ですが、機会があればぜひ和物の雪組作品を観てみていただきたいです。
まとめ
現在雪組で上演中の『ボー・ブランメル~美しすぎた男~』
登場するおしゃれな衣装にも注目して観劇してみたいですね。
